メルセデスベンツ車のタイヤ空気圧センサーの仕組みと特徴をまとめて解説

メルセデス・ベンツの車両には、タイヤの空気圧を監視する空気圧センサーが搭載されています。このセンサーの仕組みを知っておくことは、警告表示への対処やメンテナンスを適切に行うために重要です。

メルセデス・ベンツの空気圧センサーは「間接式」を採用しており、タイヤの回転数の変化から空気圧の低下を検知します。直接式と比べると検知精度は劣りますが、センサー費用が不要なメリットがあります。

この記事では、ベンツの空気圧センサーがなぜ間接式を選択したのかその理由と仕組み、警告時の対処法、リセットや交換の方法などを解説します。空気圧の定期確認の重要性も、併せて確認していきましょう。

この記事のポイント

ベンツの空気圧センサーが間接式である理由
間接式センサーの仕組み
空気圧低下時の警告の仕方
センサーのメンテナンス方法

ベンツのタイヤ空気圧センサーはどのように作動するか
各ベンツモデルの空気圧センサーの違い

ベンツのタイヤ空気圧センサーはどのように作動するか

メルセデス・ベンツの車両には、タイヤの空気圧を検知するセンサーが搭載されています。この空気圧センサーは、タイヤの空気圧が低下した場合にドライバーに警告を出す重要な安全装置です。

空気圧センサーには大きく分けて、タイヤの空気圧を直接検知する「直接式」と、タイヤの回転数の変化から間接的に空気圧の低下を検知する「間接式」の2種類があります。

メルセデス・ベンツの空気圧センサーは後者の「間接式」を採用しています。間接式の仕組みは、タイヤの空気圧が下がるとタイヤの外径が小さくなり、回転数が多少増加します。この回転数の変化を検知することで、空気圧の低下を監視しているのです。

具体的には、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)のセンサーを利用して、4輪それぞれの回転数を計測しています。他のタイヤと比較して回転数に差が生じた場合、空気圧の低下が考えられるため、警告を発します。

直接式に比べると検知の精度は多少劣りますが、センサーの追加コストが不要なため、低価格で実現できる利点があります。一方、タイヤを交換する際に、センサーの登録作業が不要というメリットもあります。

間接式の欠点は、全輪の空気圧が均等に下がった場合には検知できない可能性がある点です。定期的な点検が必要不可欠と言えます。また、センサーからの直接計測がないため、個々のタイヤの正確な空気圧が分からないというデメリットもあります。

ベンツの空気圧センサーの仕組みを知る

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムが間接式であることは重要なポイントです。直接式とは作動原理が異なり、センサーをタイヤに装着する必要がないため、コストを抑えられる反面、検知精度には多少の制限があります。

空気圧の低下を回転数の変化から検知する仕組みを理解しておくことで、システムの特徴や限界を知り、日頃のメンテナンスで注意すべき点を把握できます。例えば、タイヤローテーション後のリセット忘れは回転数の異常検知の原因となるでしょう。

空気圧センサーのリセット方法を確認する

タイヤ交換やローテーション後は、空気圧警告システムのリセットが必要です。リセット忘れが警告表示の原因となるケースがよくあります。

リセットの方法は、ハンドル右側のホームボタンからメンテナンスメニューに進み、「タイヤ空気圧」を選択。そこで「空気圧は正常ですか?」の表示で「はい」を選ぶだけです。簡単な作業ですが、多くのドライバーが見落としています。

空気圧センサーが故障した場合の対処法

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、センサー自体が故障することはまずありません。ただし、システム全体の異常は考えられます。

例えば、警告が頻繁に表示される、リセットしても警告が消えない、などの場合はシステムの異常が疑われます。このときは正規ディーラーで点検を受けることをおすすめします。修理にはセンサー交換ではなく、システムの初期設定が必要になる場合があります。

タイヤ交換時の空気圧センサー登録の必要性

前述の通り、メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは直接式ではないため、タイヤ交換時に新しいセンサーの登録は不要です。ただしシステムのリセットは欠かせません。

一方、直接式を採用する他の車種の場合、新しいセンサーを登録しないと正常に作動しないので注意が必要です。メルセデス・ベンツの空気圧センサーはこの手間が省ける利点があります。

空気圧センサーの交換時期と費用を知る

前述の通り、メルセデス・ベンツの空気圧警告システムはセンサーを使用しないため、交換の必要はありません。ただし、システム全体の故障はある程度の頻度で発生する可能性があるので、その際の修理費用は1回あたり5万円程度が目安となります。

直接式の場合、センサー単体でも1個あたり2~3万円程度のコストが発生します。メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、この点でもコストメリットが大きいと言えるでしょう。

空気圧低下時の警告表示の仕方

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、空気圧の低下を検知すると警告灯を点灯させるとともに、マルチファンクションディスプレイに警告メッセージを表示します。

警告の仕方には2通りのパターンがあります。空気圧の低下が軽度の場合は、黄色の警告灯が点灯し、「タイヤ空気圧警告」という表示が出ます。より深刻な空気圧の低下では、赤い警告灯に切り替わり、「タイヤ空気圧を点検してください」との警告文が表示されます。

タイヤの空気圧確認の重要性

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは便利な機能ですが、あくまでも補助的なものです。タイヤの空気圧は定期的に自分で確認することが重要不可欠です。

空気圧が全輪均等に下がっている場合は検知できない可能性があるため、メーカー指定の空気圧を確実に保つ習慣が必要です。少なくとも1ヶ月に1回は空気圧計で確認することをおすすめします。

ベンツのタイヤ空気圧警告の意味

メルセデス・ベンツの空気圧警告が作動した際は、タイヤのパンクや急激な空気漏れが考えられます。すぐにタイヤを確認する必要があります。

警告灯は空気圧の低下を知らせているだけで、実際の空気圧値は分かりません。タイヤが使用不能になるほど空気が抜けている可能性もありますので、その場合はスペアタイヤと交換する必要があります。

空気圧センサー警告への対処法

空気圧警告が表示された場合は、近くのガソリンスタンドなどで実際のタイヤ空気圧を確認しましょう。空気を入れても警告が消えないときは、システムのリセット操作が必要です。

リセットしても警告が消えず、タイヤの異常も見つからない場合は、システムの故障が考えられます。この場合は正規ディーラーで点検を受けることをおすすめします。

空気圧センサーの点検とメンテナンス

前述の通り、メルセデス・ベンツの空気圧警告システムはセンサーを使用しないため、センサー単体のメンテナンスは不要です。ただし、システム全体の故障はある程度の頻度で発生します。

空気圧警告システムの異常が疑われる場合は、定期的に正規ディーラーでの点検を受けることをおすすめします。1~2年に1回程度の点検が適切だと考えられます。

各ベンツモデルの空気圧センサーの違い

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、同じ間接式であるものの、採用しているセンサーやシステムにはモデルごとに異なる特徴があります。代表的な2つのモデルを例に解説します。

W205モデルの空気圧センサーの特徴

W205 モデル(Cクラス)の空気圧警告システムは、各輪の回転数の差を検知するセンサーとしてABSセンサーを利用しています。

ABS センサーはスピードセンサーとも呼ばれ、車輪の回転速度をモニタリングしています。このデータを基に空気圧の低下を判断するのが W205 モデルの仕組みです。

W213モデルの空気圧センサーの違い

一方、W213 モデル(Eクラス)では、より高度な検知を実現するために、専用の多重空気圧センサーを採用しています。

各タイヤの回転数だけでなく、垂直加速度やコーナリング時のデータも解析することで、より精度の高い空気圧低下の検知が可能になっています。

センサーの違いによって空気圧監視の精度に差が出るため、各モデルの仕様を知っておくことが大切です。

このように、メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、同じ間接式であっても細かな仕様の違いがあることを理解する必要があります。モデルに合わせた知識を持つことで、正しい利用とメンテナンスが可能となります。

古いモデルの空気圧センサー

メルセデス・ベンツの空気圧警告システムは、1990年代後半から順次採用され始めました。当初の古いモデルでは、検知精度が必ずしも高くありませんでした。

例えば、W210モデルでは回転数の検知だけでなく、車速やアクセル開度なども一定のアルゴリズムで解析していました。空気圧だけでなく運転状況の変化も警告の要因となりえます。

空気圧警告システムの進化

2000年代以降、空気圧センサーの検知アルゴリズムは飛躍的に向上しました。単純な回転数差ではなく、各輪の回転数データを総合的に判断するようになりました。

また、ヨーレートセンサーや加速度センサーとの連携により、コーナリング時の負荷変化も考慮するようになり、精度の高い空気圧低下検知を実現しています。

他車との空気圧センサーの違い

メルセデス・ベンツが間接式を好む一方で、他の高級車では直接式を採用するケースが多いのが特徴です。

直接式はセンサー価格の負担が大きい反面、リアルタイムの空気圧値が分かるなどメリットも大きいです。メルセデスはシンプルでコストを抑える設計思想がうかがえます。

ベンツ空気圧センサー仕組みの総括

ベンツのタイヤ空気圧センサーの仕組みのポイント

・間接式のセンサーを使用
・タイヤの回転数の変化を検知
・ESPセンサーで各輪の回転数を計測
・回転数の差から空気圧低下を判断
・直接式より検知精度は劣る
・センサー費用が不要なメリットがある
・全輪空気圧低下は検知できない可能性あり
・タイヤ交換時はセンサー登録不要
・システムのリセットが必要
・警告灯と表示で空気圧低下を知らせる
・空気圧の定期確認が重要
・センサーのメンテナンスは不要
・モデルによりセンサーに違いがある

参考

ブルメスターベンツ音響評価の高さの理由と選ぶポイント